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玉澤 聡*; 上野 晃生*; 玉木 秀幸*; 玉村 修司*; 村上 拓馬*; 木山 保*; 猪股 英紀*; 宮川 和也; 長沼 毅*; 金子 勝比古*
no journal, ,
嫌気的環境の一つである陸域地下珪藻質泥岩層は地球上に広く分布しており、北海道北部地域の天塩平野の地下には、新生代新第三紀中新世に形成された海成堆積物から成る珪藻質泥岩層が広がっている。これまで珪藻質泥岩層のボーリングコア試料または孔隙水の微生物群集構造解析やメタゲノム解析によって、発酵性細菌と推測される微生物群の存在は示唆されていたものの、現在まで分離培養されておらずその生理生態学的機能はほとんど明らかにされていなかった。本報告は、幌延深地層研究センターの深度250m調査坑道から採取した地下水から、新規Bacteroidetes門細菌HJ250株の純粋分離に成功したことを報告するものである。HJ250株は、15-37C、pH6.0-9.0で生育可能な絶対嫌気性の発酵性細菌であり、メタン生成菌が利用可能な有機化合物を作り出す能力を持っていることが推測される。また、異なる深度の地下水試料から、HJ250株と100%の相同性を示すDNA配列が検出されたことから、HJ250株は原位置にただ存在するだけでなく、珪藻質泥岩層の特に比較的浅部域における嫌気的有機物分解反応に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。